2024年春は、静岡県下田市を旅してきました。
伊豆半島は、関東からアクセスしやすい観光地ですが、半島の最南端に位置する下田市は、JRの特急踊り子を利用しても2時間30分ほどの時間を要することから、我が家にとっては心理的な距離も遠く感じられ、これまでは半島の入口に位置する熱海や、そこより先に行ったとしても伊豆高原あたりで済ませてしまうことが多かったので、あらためて振り返ってみたら、子供が小学校低学年だったときから20数年ぶりの訪問となりました。
概要
「ホテル山田屋」は、下田市街から御用邸のある須崎方面に向かう県道116号線の途中、下田港に臨む高台の中腹に位置する総客室数24室のこぢんまりとした宿です。宿泊当日の昼間に訪れた寝姿山の展望台からも、その姿を確認することができました。
こちらの宿は、目の前がビーチという訳ではないので、特に海水浴が目的ではなく、どちらかというと落ち着いて観光を楽しみたい私たちの様な客層にはうってつけではないでしょうか。
アプローチ
今回、私たちはレンタカーを借りたので、宿まではクルマで移動しました。
伊豆急下田駅から東に向かって3㎞弱、10分もかからずに到着します。
また、伊豆急下田駅に電車で到着する時刻が14:30から17:30までは、無料送迎バスも運行されているそうなので、クルマでなくても問題ありません。
駐車場は、県道脇とホテルへのスロープを上った建物の手前にあります。それぞれ15台、合計30台程度の収容台数ありそうです。
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館内
エントランスに入ると横幅のある土間と上り框(あがりがまち)があり、ここで靴を脱いで上がります。
玄関ホールで靴を脱ぐ和風旅館は久しぶりかもしれません。
ロビー・ラウンジ
画像の左手は1階にある土産物売り場で、その先にフロントとエントランスがあります。
また、カウンター上にはウォーターサーバーが設置されていますので、同じフロアにある大浴場での入浴前後に冷たい水をもらって、隣接するラウンジで休憩できます。
順番に、館内に掲示されていた案内板、ラウンジとゲームコーナーです。
ラウンジ奥の衝立の向こう側がゲームコーナーになっており、昔懐かしいゲーム機の筐体が数台とマッサージチェア、そして美味しい料理を食べすぎた方への配慮でしょう、エアロバイクもありましたよ。
客室
今回宿泊したのは「和ベッドツイン」の部屋。
広さ10畳の和室にベッドが2台とバスルーム、トイレ、洗面台があります。
下田港が見える窓は西向きのため夏は暑そうですが、この季節では全く問題無く、むしろぽかぽかとした暖かさを感じながら夕景を楽しむことができました。
アメニティは、洗面台にクレンジング、化粧水、乳液、ヘアトニック、スタイリング剤、歯ブラシ、髭剃り、シャワーキャップ、コットン類が、バスルームにはシャンプー、コンディショナー、ボディソープが備え付けられています。
室内には、冷蔵庫、電気ポット、水差し、フェイスタオル、バスタオル、館内着として浴衣と丹前があります(残念ながら足袋はありません)。
冷蔵庫は、以前システム冷蔵庫として使用されていたのでしょう、庫内にベンダーがそのまま残っているため、容量の大きい容器を入れるのは難しそうでした。
大浴場
建物の奥、方位としては北側に位置する大浴場。
男湯と女湯は入れ替えが無く固定で、内湯と露天風呂があります(サウナはありませんでした)。
入浴時間は15:00~翌8:30。
参考までに、男湯の広さは洗い場が8席、目算で内湯は10人規模(余裕をもって入ろうとすると7人程度)で、露天風呂は6人規模(余裕をもって入ろうとすると4人程度)。
また、お湯は長時間浸かっていられる温度でした。
温泉の泉質は、単純温泉。
しかし侮るなかれ、pH値は8.1とお肌に優しい弱アルカリ性で、肌の保湿に効果があるとされるメタけい酸は、温泉法による基準値の50mg/kgを超える69.3mg/kgです。
また、消毒はされていますが、塩素臭は特に気になりませんでした。
貸切家族風呂
こちらの宿には、1階大浴場以外に2階に予約制の貸切家族風呂があります。
予約は、チェックイン時にフロントで申し込みます。
利用可能時間15:00~24:00の中で、1組あたり40分という時間制限が有りますが、利用料金は無料です。
浴槽は檜造りで、浴室内に良い香りが漂います。
家族風呂というだけあって、4人家族でも十分な広さです。
洗い場が2席用意されていますので、2人ずつ体を洗って交代で湯舟に浸かれば、ゆっくりするのは難しいでしょうが、ぎりぎり40分でも行けるかもしれません。
食事処
朝晩の食事は、2階の食事処にていただきます。
今回、私たちが案内されたのは、同じ2階にある個室食事処。
比較的新しい設備の様でした。
因みに、夕食と朝食の開始時刻は、チェックイン時にフロントで確認を受けます。
夕食は18:00か18:30から、朝食は7:00か7:30からです。
食事
夕食
今回、夕食はスタンダードプランでした。
宿泊当日の行動計画から、いつもと違ってお腹がペコペコになるかもしれないと予想して、事前に追加の伊勢エビ料理を頼みました。
先付(黒い小皿)は、鯛を乗せたあん肝でした。その右手に鰆(さわら)のカルパッチョ。
前菜にホタルイカ、ホタテの味噌焼き、マスタード風味のチキン。
お造りは、ホウボウだそうです。
ピンク色の饅頭が鎮座したお椀は、春らしく桜を使った蒸し物。
そして金目鯛の煮つけ。
チーズとスライスアーモンドを乗せて焼いた伊勢エビは、事前に追加をお願いしていたものです。
鍋は、鶏のつみれのみそ仕立て。
最後のデザートは、リンゴのコンポートを乗せたメロンのプディングとチーズケーキ。
ご紹介したもの以外に、ご飯とすまし汁がありました。
ただ、申し訳ないことに、2人揃ってお腹いっぱいで、ご飯には少量しか手が付けられず・・。
追加の伊勢エビ料理を頼まなかったとしても十分な量でした。
朝食
朝食は、7:00にお願いしました。
案内された席は夕食と同じ。
テーブルには多彩な小鉢が並び、メインのおかずはアジの干物。
鍋は湯豆腐でした。
タカの目チェック(女性目線で気づいたこと)
私の奥さん「タカ子」さんの女性目線による(情け容赦のない)コメントコーナーです。
寝具
今回宿泊した部屋の寝具は、スプリングが入っているマットレスでは無くて、すのこ状のベッドにmaruhachiの敷布団が2枚重ねて敷かれているタイプでした。
もちろん、支障はありませんでしたが、ベッドにこだわりたい方は、シモンズベッドが備えられているお部屋も有りますので、お好みでそちらを利用するのも有りです。
また、好みで高さが調整出来る折りたたみ枕は便利です(宿の売店で購入出来るそうです)。
浴室
部屋の内風呂には、ルーバータイプのガラスでブラインド状に開閉できる小窓があり、半露天の気分が味わえるので、大浴場に行けない方にも優しいと思いました(ただし、部屋のお風呂は温泉ではない様でした)。
大浴場
大浴場の温泉は、内風呂、露天風呂のいずれも湯温はちょうど良く、短時間でも温まるさらっとしたお湯(家族風呂も同様)。
女湯の露天風呂は、植え込みで囲われている為、湯に浸かりながら外の景色は眺められませんが、防犯の観点から考えると安心とも言えます。
大浴場内には、メイク落とし兼洗顔フォームもあり、脱衣所には化粧水と乳液が用意されてました。
ヘアブラシは、持ち帰り出来ないタイプのものが消毒済みで置いてあります。
シャンプー、コンディショナー、ボディソープは「Orange Rose」でした。
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食事
お料理は、スタンダードプランにもかかわらず、地魚のお刺身を舟盛りで出してくださったり、和と洋を上手く融合させて工夫されたもので、お子さんでも食べ易いかと思いました。
そして極めつけは、ふっくら肉厚の金目鯛の煮付け。
甘めのタレがご飯によく合い、美味しかった〜。
総評
伊豆下田温泉で老舗旅館のホテル山田屋さん。
宿のホームページで拝見した、客室から見える夕陽に照らされた美しい下田港の景色に惹かれて、こちらに伺うことにしました。
お部屋の窓には想像通りの絶景が広がり、刻々と移りゆく夕暮れの空と、陽の光に輝く穏やかな海をぼんやりと眺める贅沢なひとときを過ごす事が出来ました。
また、今まで宿泊した宿には、今回の2倍以上の宿泊料金のところもありましたが、そこで提供された料理の中には、とても料金に見合っているとは感じられないものもありました。
それに対して山田屋さんは、このご時世においてリーズナブルとも言える価格で、お料理のお味も大変良く、ひとつひとつ丁寧に心を込めて調理して提供してくださっている事が感じられて良かったです。
部屋からの眺望の良さ、美味しい料理、落ち着く温泉など、総合的に大満足な旅となりました。
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最後に
今回は、夫婦2人揃って奥さんの総評通りの好印象が残った「ホテル山田屋」。
夏場などで海水浴を楽しもうとすると、一番近くても「外浦海水浴場」まで出向く必要があるという立地上のマイナスポイントがありますが、そこまで求めない方やプールで良いという方であれば屋外プール設備もありますので事足りますし、小さい子連れの場合はむしろそちらの方が安心かもしれません。
費用面では、ハイシーズンではなかったこともありますが、この料金でここまで出来るのかという驚きと満足度の高さだったので、必要な経費を抑えつつも、どこで利用者に訴求するかという経営の方向性なんだろうなと思いました。
例えば、鮮度の低さを味付けで胡麻化すことが可能な料理が提供された場合、その点に敏感な私の体が問題を起こすことが多々あるのですが、今回その様なことが起こらなかったことも、この宿が何を大事にしているのかを感じられる一例です。
また、私たちの様に、ホテルステイを楽しみたいタイプでもなく、アルコール耐性が高くもない者にとっては、遊園地かと見まがう様な過剰な設備が備えられていたり、ラウンジに飲み放題の酒類が大量に用意されていたりしたところでピンと来ませんし、お得とも感じられません(逆に、その分の経費が宿泊費に反映されているのだと思うと、むしろ損をしている気分になります)。
その観点からすると、過剰なサービスを省きつつ、私たちの様な旅行者が観光地の宿泊施設に求める、食事の質と適度な居心地の良さを提供してくれているこちらの宿は、とても好ましく思えました。
<関連情報>
「ホテル山田屋」公式サイト
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