2023年春の旅行は、我が家史上初の大型予算が認可されました。
行先は鹿児島県。旅行好きの両親のもとで育った奥さんも、未だ訪れたことが無いという場所です。
旅程は2泊3日で、このうちの1泊に何かと話題の星野リゾート「界 霧島」の特別室が予約できました。
おそらく、1泊当たりの宿泊費として、私の人生で最初で最後の規模の予算執行となるんじゃないかな・・。
概要
「界 霧島」は、総客室数49室の比較的こじんまりした規模の宿です。
JR霧島神宮駅からクルマで約15分、鹿児島空港からクルマで約45分で、霧島温泉郷の中心地からは南東方向に10㎞ほど離れたところに位置しています。
他の宿泊施設や土産物店、飲食店などが集まるエリアからは距離が有り、霧島神宮からも10分ほど山道を上った、世間からは隔絶された感のある場所にあることから、落ち着いて過ごしたい方には絶好の宿です。
ただ、そんな場所であるが故に、ホテルまでの交通手段としては、自家用車、タクシー、レンタカーとなります(送迎はありません)。
外観
鹿児島空港で借りたレンタカーで、カーナビの案内に従い国道223号から外れて山道を上って行くと、霧島神宮のちょうど北側に位置する辺りに突然「界 霧島」の駐車場入り口が現れます。
駐車場常駐のスタッフの案内を受け、50台分ほどの広さが有る駐車場にクルマを停めているとアテンドのスタッフが現れて館内へ案内してくれます。
駐車場から、屋根付きの階段を上ってフロントへ向かいます。
上空からでないとホテル全体を見渡すことはできませんが、フロントと食事処のある「パブリック棟」、大浴場がある「湯浴み小屋」、そして「宿泊棟」と大きく3つの建物で構成されています。
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館内
エントランスから館内に1歩足を踏み入れると、どこで焚かれているのかお香の良い香りに包まれます。
ここから別世界が始まるとでも言っているかのような演出です。
フロント
フロントとフロント前にあるオブジェ。
オブジェは、古事記に記された高千穂峰に降臨した神々にまつわるものの様です。
チェックイン手続きは、その向こうに見えるロビーの長椅子に座って行いました。
また、ウェルカムドリンクの類は提供されませんでしたが、奥の「トラベルライブラリー」にあるコーヒーマシンやお茶のポットが自由に利用できます。
なお、このフロアが3階になります。
館内の良い香りは、フロントのカウンターに置かれている香炉で焚かれているものの様です。
フロント脇にある土産物コーナー。
こちらにあるのは展示品で、実際の注文はスマートフォンを使って館内のフリーWi-Fiのネットを通じて、またはオーダーシートへの記入によって行うそうです。
ラウンジ
ロビーの奥にある「トラベルライブラリー」。
壁の棚にはこの地域にまつわる図書類と自由に飲めるウォーターサーバー、コーヒーマシン、ティーバッグなどが置かれています。
また、こちらが、毎日行われる「天孫降臨ENBU」の会場となります。
食事処
パブリック棟2階にある食事処。
こちらで、夕食と朝食をいただきます。
テーブルは、半個室として仕切られているので、プライベート感は高いです。
ただ、仕切りの上部は開いているため、隣のテーブルが賑やかだと居酒屋っぽくなってしまいますかね。
ビューテラス
遠くに錦江湾に浮かぶ桜島を眺められる「ビューテラス」。
10席ほどのソファやデッキチェアが並んでいます。
夜間は、多少寒くてもガスヒーターが点火されるので暖を取れますし、良い雰囲気の演出にもなっていました。
スロープカー
この宿の特徴の1つは、大浴場のある「湯浴み小屋」までスロープカーを使って移動することです。
乗り物が好きな子供がいたら、ずっと乗って上ったり下りたりしてそうな気がします。
スロープカー乗り場は、「宿泊棟」1階にあります。
乗り場には、スロープカーの呼び出しと男湯・女湯の混雑状況が確認できるコントローラーがあるので、そこにスロープカーがいなければボタンを押して呼び出します。
そうそう、スロープカーに乗り込んだら、エレベーターの様に行先ボタンを押しましょう。
うちの奥さんみたいにぼお~っとしてても何も起きませんよ。
スロープカーに乗って、「湯浴み小屋」側の乗り場である「湯上り処」までは、3分程かかります。
休憩用の椅子やソファなどが、10脚ほどあります。
また、シリカ水、クランベリー黒酢ジュース、ほうじ茶などの飲み物やアイスキャンディーが用意されているので、湯上りに景色を眺めたりしながら寛ぐことができます。
湯浴み小屋(大浴場)
「湯浴み小屋」の利用時間は、15時から1時と5時から11時です。
私たちが「湯浴み小屋」に行ったのは、チェックアウト時間ギリギリの誰もいない時間帯だったので、男湯も女湯も独り占めできました。
「湯上り処」から「湯浴み小屋」までは、50m程の距離があります。
それぞれの場所に傘が備えてありますが、屋根などが無い吹きさらしの中を歩くことになるので、雨天はもちろん気温の低い時期、時間帯を往復するのは体に応えるので、羽織るものを準備してください。
バスタオル、フェイスタオル共に「湯浴み小屋」内に備えられていますので、自前の垢すりや化粧品以外は持参不要です。
また、備え付けのドライヤーの数は2~3台程度のため、混んでいると奪い合いになりそうです。
洗い場は6ヶ所。
内湯はあつ湯とぬる湯の2つの浴槽があり、露天風呂の浴槽は1つ。
それぞれ、余裕を持って入れる人数は5~6人かと思います(特に露天風呂は、皆さん桜島の方を向いて入りたいでしょうからね)。
このうち、源泉かけ流しは、淡く濁りが見えるあつ湯の浴槽のみとなります。
それと、内湯は天井が高く良い雰囲気なのですが、室内は暖まり難そうなので、気温が低いと体を洗っている間は寒くてたまらないでしょうね。
温泉成分分析表によると、こちらの温泉は「単純温泉※」です。
霧島温泉というと、白く濁った硫黄泉というイメージを持っていたのですが、濁りは淡く、硫黄臭も感じられませんでした。
自然のものなので、その時々で変化するということはあるでしょうが、正式な分析結果が硫黄泉ではなかったというのは意外でした。
客室
今回、利用させてもらった部屋は、広さ69㎡の「特別室」。
3~5階に1室ずつある部屋で、私たちは3階でした。
部屋の様子を動画にしてみたので、参考にしてみてください。
「界」のコンセプトとして、立地するそれぞれの地域のものを取り入れているそうで、霧島の場合は火砕流・火山灰などの堆積物「シラス」で出来たベッドボードや薩摩和紙で作られたフロアスタンドの笠などがあります。
写真のダウンライトカバーは薩摩切子で、特別室だけに取り付けられているものとのことです。
部屋に用意されているお菓子は「かるかん煎餅」。
カップボード内に用意されているお茶と共にいただきまいた。
部屋付きの風呂は、窓を開放すれば半露天になります。
窓を開けて桜島を眺めながら、野鳥のさえずりを聞きつつ浸かる温泉は最高でした。
洗面所に備え付けられているアメニティと風呂敷。
風呂敷の中身は、ヘアブラシ、歯ブラシ、綿棒などです。
風呂敷は、館内移動の際にバッグとして利用することも可能です。
館内着の作務衣と半纏(はんてん)。
作務衣にはポケットが付いていないので、館内移動の際には別途手提げ袋の類が有った方が良いですね。
なお、館内履きは下駄です。
食事
夕食
夕食は、開始時刻が17:30からと19:30からの2回に分けられています。
私たちは17:30開始で、2階の「食事処」でいただきました。
内容は、スタンダードなプランの会席料理です。
まずは、先付け、お椀、八寸。
お椀の桜餅、八寸の菜の花など、春を感じさせてくれます。
八寸の続きで合鴨ロースの苺巻は、なんとも変わった取り合わせ。
メインは、黒豚しゃぶしゃぶです。
しゃぶしゃぶの出汁と追い鰹でいただく蕎麦の後は、デザートの軽羹のあんみつです。
これで夕食は終了。
私たちにとっては、量も適度でした。
朝食
朝食の提供時間は、7:15から9:15の間です。
場所は、夕食と同じ2階の「食事処」です。
食事は、1人分ずつ配膳されます。
さつま揚げは3種類で、その場で火で加熱するのでアツアツのものが食べられます。
汁物は、具沢山のさつま汁です。
給仕の方から、削りたての鰹節をご飯に乗せて、薩摩醤油を掛けて食べることを勧められたのでやってみました・・・美味しいんですけど、猫まんまですかね。
天孫降臨ENBU
こちらの宿のもう1つ特徴とも言える「ご当地楽 天孫降臨ENBU」。
霧島神宮の御際神「ニニギノミコト」の地上への降臨神話をモチーフとした演舞です。
スタッフの皆さんが演じているそうですが、迫力のある太鼓の音が、お腹に響きました。
あまりプロフェッショナルなものを期待してはいけませんが、ホテルステイを楽しみたいという方は、参加してみたら如何でしょう。
「トラベルライブラリー」にて、毎日21:15開演です。
タカの目チェック(女性目線で気づいたこと)
私の奥さん「タカ子」さんの女性目線によるコメントコーナーです。
食事
お食事は、決して不味くは無いのです。
でも、妙に油っぽい先付けのあくまきから始まり、本当にプロの料理人が切ったのかと首をかしげたくなる様な刺身だったり、匠の技が光ってるな~と印象に残る料理が一つも無かったのです。
また、お品書きを見ても料理長の名前がありません。
疑問に思い、帰って来てから調べてみると、セントラルキッチン方式を採用しているとの情報を目にしたので、そういうことかと合点がいきました。
コスメ
備え付けの化粧品やシャンプーの質に関しては、高級品でもなければ粗悪品でも無いものが置いてありました。
寝具
寝具については、雲の上で寝ているかの様な寝心地と言う『ふわくもスリープ』。
「そんな事あるの⁇(笑)」
ー寝てみるー
「!?ホンマや!!」と、なりました。
ふっわ〜んふっわ〜んです。腰も痛くならないし素敵過ぎました。
総評
客室の大きな窓から見渡せる桜島や錦江湾、緑豊かな霧島の大自然。
夜になれば、遠くに光る鹿児島空港の光のラインと、煌めく星空。
景色を堪能しながらゆっくり進むスロープカーに乗り、「湯浴み小屋」へ向かうワクワク感。
十分に非日常を味わえるお宿でした。
不満があるとしたら、今回「特別室」だったということもありますが、宿泊費に見合わないと感じてしまったお食事内容と、想像と違っていた温泉の質でしょうか。
宿のホームページを見ると、『1泊1名¥16,000より、6回あと払いで、2,667円/月〜』とあります。
このお値段で宿泊できれば、とてもお得感を感じられるでしょうが、今回の私たちにとっては見合わないものに感じる結果となってしまいました。
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最後に
今回、我が家初の「星野リゾート」宿泊でした。
立地が、高千穂峰の山腹の標高600mほどの場所ということで、視界を遮るものが無いことから、客室の窓の外の眺めは間違いなく素晴らしいです。
また、客室数から想像するに、一度に100人以上の宿泊者が利用可能なキャパシティがあると思われますが、不思議と他の宿泊者の存在を意識することもなく過ごすことができました。
おそらくこれは、食事時間が2回に分けられていたり、食事処が半個室であったりと、プライベート感が損なわれない様な工夫がなされているというのも理由かと思われます。
ホテルスタッフの皆さんは、若い方が多い印象でしたが、笑顔を絶やさず丁寧に接していただけました。
また、「天孫降臨ENBU」の上演を始め、ホテルをただ食べて寝るだけの場所ではなく、滞在することそのものを楽しめるように工夫されていることも見て取れました。
驚くべきは、旅行先の宿に宿泊した際に、残念ポイントとしてよくある、客室内の目立たないところの埃が全く見当たらなかったことです。
たまたま、室内の床や埃の溜まりやすい壁の下部の巾木に触れてみたのですが、指に付いてくるものが全くありませんでした。
企業としてスタッフの教育がしっかり行われていることと、スタッフの皆さんそれぞれのホスピタリティを感じることができましたし、そのお陰で、とても気持ちよく過ごすことができたのだと思います。
他方、料理と温泉については、これも旅の重要な要素だと考えると、期待していたものと異なっていたところは非常に残念でした。
まとめると、辛口な表現となってしまいますが、ホームページで謳っている通り『桜島をはるかに見渡す絶景の湯宿』であることに間違いはなく、スタッフの皆さんの対応もとても素晴らしいのですが、料理の質的な物足りなさから来る料金の割高感、霧島という名前からイメージする濃く白濁したお湯とは程遠い温泉については、割り引いて考えた方が良いかなという感想となりました。
<関連情報>
「界 霧島」公式サイト
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