2025年の春。
一昨年の熊野三山参拝の旅に引き続き、これまで無事に過ごすことができたことに感謝して、伊勢神宮参拝の旅に出ることにしました。
・・・とは言っても、二人揃ってへそ曲がりな私たちは、素直に伊勢市内に泊まる様なことはせず、少し東に移動して鳥羽市安楽島町の海女乃島に宿泊させてもらうことにしました(もちろん、いつにも増して入念なリサーチを奥さんが掛けたことは言うまでもありません)。
概要
「海女乃島」は、JRや近鉄の鳥羽駅、伊良湖との間でフェリーが運航されている鳥羽港等がある市街地から見て、加茂川を挟んだ南東側の高台に位置しており、鳥羽湾やそこに浮かぶ島々の眺めが良い宿です。最寄り駅は、近鉄志摩線の中之郷駅か志摩赤崎駅ですが、どちらの駅も普通列車しか停まらず、また宿までの距離がそれぞれ2.5㎞以上あることから、近鉄特急も停まる鳥羽駅からの宿の送迎バスか、自家用車等を利用することになります。
また、海の眺めが良いといっても、一番近い市営安楽島海水浴場までは南東方向に直線距離で2㎞近くあるため、ビーチリゾートとは異なる趣があります。
部屋数は33室とのことですが、私たちの宿泊日は10組程度と思われたので、騒がしさも感じずに過ごすことができました。
アプローチ
この日、私たちは宇治山田駅でレンタカーを借りて、伊勢神宮を参拝した後に投宿しました。
鳥羽港方面から国道167号を進み、県道750号に入ってすぐホテルが集まるエリアに上る坂道へと曲がるのですが、進んだ先の目の前に「鳥羽ビューホテル花真珠」が見えるカーブの頂点にある、こちらの宿に続く道への分岐が分かり難いので注意が必要です。私たちも、カーナビが正確に案内してくれず、道路際に案内板も無かったため、少し通り過ぎてから戻ることになりました。
なお、電車利用の場合に鳥羽駅から送迎していただける宿のマイクロバスは、15時~19時の間の対応で、事前に電話予約が必要とのことです。

駐車場は、宿の目の前と西側に、合わせて20台分ほどのスペースがありました(宿のホームページには50台と紹介されていましたので、他の場所にもあるのでしょう)。
[広告]
館内
フロント

エントランスに入るとすぐ右手にフロントが有ります。
カウンター上に、いくつか受賞した賞の賞状が掲示されていましたが、最近では楽天トラベルアワード2024で、ブロンズを受賞しているそうです。
ロビー

エントランスの正面奥がロビー。
その先は、2本の柱以外は全面窓ガラスで、鳥羽湾に浮かぶ坂手島という素敵な借景が広がっています。

ロビーに設置されているバーカウンター。
朝食の時間帯には、こちらで食後のコーヒーがふるまわれます。

ロビーの一角に土産物の売店があります。


エントランスを入って左手(フロントの逆側)には美人画がお出迎えしてくれます。
ちなみに、このフロアが2階になるそうです。
客室

今回宿泊したのは「和室10畳(ツインベッド)」の部屋。
ベッドの寝心地も良かったです。
ちなみに、ドアはオートロックではないので、出入りの際はご自身でしっかりとキーを回してください。
また、キーは2つあるので、大浴場に行く際など二手に分かれるときは便利です。

客室の窓からの眺めもすばらしいです。



付属設備は、ユニットバス、冷蔵庫、茶器類(水のペットボトル2本含む)、ヘアドライヤー(Panasonic ionity)、蚊取り器(ノーマットタイプ)、消臭スプレー等。
客室玄関の上がり框とユニットバスに入る際の段差がありますので、足が不自由な方は注意が必要です。
アメニティは、ユニットバス内にシャンプー、コンディショナー、ボディソープ、ハンドソープ、歯ブラシ、紙コップがあります(その他髭剃り、ヘアブラシ、シャワーキャップはフロント横に置いてありました)。


浴衣は、男女同じ柄ですが、帯が青とピンクのリバーシブルになっています。
お茶菓子は、抹茶クリームを挟んだ少し硬めのウェハース。
伊勢でもお茶を作っているんだな~と思いを馳せながらむしゃむしゃいただきました。
大浴場

大浴場は地下1階にあります。
手前が人魚伝説ムーンライトマーメイドで、奥が古代伝説檜美香(ひみこ)の湯。
それぞれに内湯と露天風呂があり、ムーンライトマーメイドは内風呂の浴槽に螺鈿細工が施されたメルヘンチックなもので、露天風呂は檜造り、檜美香の湯の方は内風呂が檜造りの浴槽が2つで、露天風呂は岩風呂です。
サウナはありませんでした。
少し気になったのは、脱衣所の洗面台にヘアドライヤーが少なかったこと。
洗面台自体は、ムーンライトマーメイドに8台、檜美香の湯で10台ありましたが、ドライヤーはそれぞれ3台程度しかありませんでしたので、女性が使用する際には数が足りない気がします。
なお、ムーンライトマーメイドと檜美香の湯は、午前と午後で男女が入れ替わるシステムです。
温泉は自家源泉で、泉質はpH9.3のアルカリ性単純温泉。
お湯に浸かっているとぬめりが有って、肌がツルツルしてきます。
角質が落ちてる~って感じです。
参考までに、檜美香の湯の方が広く、内風呂にある洗い場は8席で、浴槽の余裕をもって入れる人数は露天風呂8人、内風呂の大が15人、小が5人といったところでしょうか。その他にシャワーブースが2つありました。
もう一方のムーンライトマーメイドは、洗い場7席でシャワーブースが2つ。浴槽の広さ的には露天風呂3人、内風呂が4人ですかね。

地下1階のエレベータホール側にある湯上り処。
ソフトドリンクの自動販売機もあります。
なお、アルコール飲料は、国税庁の推進する20歳未満の者の飲酒防止/適正飲酒の取り組みに則って、館内から自動販売機を撤去しているそうなので、客室内でも飲みたいという方は、スーパー等で調達してくる必要がありそうです。
食事
夕食
夕食は、活アワビ付き会席です。
開始時間は、18時か18時30分とのことでしたので、18時30分を選択しました。
夕食、朝食共に、1階の宴会場が食事会場になっています。

先附、前菜、お刺身。食前酒はライチ酒です。



続いて、天ぷら、アワビ踊り焼き、茶わん蒸し。
天ぷらに付ける「藍と麹の薬膳塩」は、2階の土産物売店でも購入できました。



蛸飯、香の物、お椀、最後にデザート。
一つ一つの料理の完成度の高さを感じることができました。

朝食

朝食メニューです。
イカの塩辛、だし巻き玉子、鯵のみりん干しが特に絶品で、デザートも付いて大満足でした。
タカの目チェック(女性目線で気づいたこと)
私の奥さん「タカ子」さんの女性目線によるコメントコーナーです(忖度はいっさい無し!)。
大浴場について
ムーンライトマーメイド
内湯は、螺鈿細工が美しいこぢんまりしたカワイイお風呂ですが、浴槽の縁がカラフルに色付けされた無数の貝殻が埋め込まれたアクリル樹脂製になっていて、その辺りが濡れていると、ぬめりのある温泉成分の影響もあってツルツル滑ります。
面倒でも手すりに掴まりながら、慎重に湯舟に入る事をお勧めします。
露天風呂は、仕切りの柵にはめ込まれたガラスの下部に目隠しフィルムが貼られているものの、目の前の建物から見えてしまうと思います。その建物は、現在は廃業したホテルなので実害はありませんでしたが、新たにホテル等が開業する時には、宿側には目隠しのための工夫をもう一段していただく必要があるかと思います。
檜美香の湯
個人的には、樹齢2000年の檜の内風呂があるこちらのお風呂が気に入りました。
浴槽も洗い場も広々して気持ち良く、木の温もりが疲れた心と体を癒してくれます。
露天風呂は岩風呂で塀に囲われているため、人の目はありませんでした。
女性の時間は朝5:30から9:00までで、出発の日に入るには慌ただしいですが、入浴される事を強くお勧めします。
アメニティ
脱衣所の洗面台には、化粧水、乳液、メイク落としジェル、オールインワンジェル、BBクリーム綿棒がありました。ヘアブラシはありません。浴室内には洗顔料と、4種類のシャンプー、コンディショナーがあって、好みの香りの物を選べるのは嬉しいですね。
満足できる宿って何だろう
昨今のホテルは、オールインクルーシブといった館内の飲食物が無料であったり、持ち帰りが出来る化粧水やフェイスマスクなどの用意があるなど、サービス合戦のようになっていますが、それらは本当にお得なのでしょうか。
私たちは、夜遅くに夜鳴きそば(ラーメン)食べません、アイスキャンディーはなくても結構です、飲み放題と言われてもそんなにお酒飲めません、大浴場に置いてある化粧水は軽すぎて合わない事も多いので、いつも使っているものを持って行きます。
これまで色々な宿に泊まってみて、やっと求めているモノがわかりました。
清潔で居心地の良い客室と非日常的な素晴らしい眺望、良質な温泉、腕の良い料理人が作る美味い食事。
これらが揃っている上にリーズナブルな価格である事(安ければ良い訳でもない)。
これこそが私たち夫婦が心から満足する旅なのです。
その点では、今回のお宿は建物こそ多少の古さを残すけれど、日本の古き良き時代を後世に伝える正統派の良宿で、大満足の旅となりました。
[広告]
最後に
私たち夫婦にとって、正にちょうどいい感じだった「海女乃島」。
料理、温泉、料金については、奥さんがコメントした通り、私たちの考えにフィットするものでした。
施設自体は、ところどころ昔懐かしい香りが漂っていますが、高台の立地からの眺めも良く、ゆったりとした時間を過ごすことができました(そういえば、どこから聞こえてきたのか分かりませんが、夜間にカエルの鳴く声が部屋まで届いてきていました。季節は限定されるでしょうが、良い雰囲気作りに一役買っていました)。
また良い宿泊先を見つけることができたな・・というのが今回の感想です。
もし、宿泊施設に対して同じような考え方の方がいらっしゃったら、きっと良い選択になると思います。
<関連情報>
「安楽島温泉 湯元 海女乃島」公式サイト
コメント