【地上30階から青い熊野灘を一望】ホテル浦島 山上館(和歌山県那智勝浦町)

2023年秋の2泊3日の和歌山県那智勝浦旅行。2泊のうちの1泊は、「ホテル浦島」でした。
同じく那智勝浦にある「ホテル中の島(当時)」と共に、奥さんが子供時代の家族旅行で泊まった思い出の宿。
ただ、この思い出も、当時就航間もない東京~那智勝浦航路のフェリー「さんふらわあ」に乗って、夜通し船酔いに苦しめられたという記憶とワンセットですが・・。

目次

概要

「ホテル浦島」は、現在では非常に珍しい大規模な宿泊施設。
勝浦港を外海から守るように突き出した半島全体がこの宿の敷地になっている様です。
本館、なぎさ館、日昇館、山上館の4つの建物から構成されていて、それぞれ83室、82室、135室、93室の合計393室という部屋数の多さ。

ホテル全景

アクセスは、電車利用の場合は、JR紀伊勝浦駅より徒歩6分の観光桟橋からシャトルバスに乗るか送迎船(毎日運航している訳ではない様です)にて、また、クルマ利用の場合は、観光桟橋から1.5㎞ほど離れた専用駐車場からシャトルバス(送迎船が運行している時は観光桟橋でバスを降りて送迎船の利用も可能)にてホテルまで送迎してもらいます。

アプローチ

専用駐車場

今回、レンタカーを利用していたので、那智湾に面した広大な専用駐車場に駐車して、シャトルバスで向かいます。
観光桟橋に着くと、運転手の方から送迎船も利用可能とのアナウンスがあったので、そこでバスを降りました。

桟橋は、「熊野別邸 中の島」の送迎船と共用です。
既に30人ほどの人が待っており、次の便に乗れるのか不安になりながら10分ほど待っていると、船首の操舵室にコミカルな亀の顔がデコレーションされた「浦島丸」が到着。

浦島丸

待っていた人たちが乗船口に殺到しましたが、不安は杞憂に終わり無事にこの便に乗ることができました。
この「浦島丸」の乗船可能人数は90人とのことなので、余程のことがなければ乗れるのだと思います。
なお、帰路は送迎船が利用できないため、乗るチャンスは往路しかありません(ただ、シャトルバスに乗って向かっていれば、桟橋から5分程度で到着していた筈なので、疲れていたり早く宿に行ってお風呂に入りたい場合はバスでの移動がお勧めです)。

本館入り口
本館フロント

ホテル側で下船すると、目の前が本館です。
亀のモニュメントと共に記念撮影ができます。
入口のドアを入ると右手にいきなり「ローソン」があり、ちょっと衝撃を受けました。

送迎船やシャトルバスで一度にたくさんの人が到着することから、フロントでのチェックイン時はある夢の国のアトラクションの様に並ぶことになりますが、スタッフが大勢配置されているお陰でスムースに進みました。

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館内

チェックイン手続きの際に、山上館への行き方を教えてもらいました(本館フロントから山上館フロントまでは、案内係の方に同行していただけないので、自力で到達する必要があります)。
本館から山上館へのルートは2つ。
フロントから奥に進み、トンネルの様な通路を通って「エレベーター」で上る方法とエントランスを入って右手のコンビニ横を進んで「スペースウォーカー」というエスカレーターで上る方法です。

案内表示板
エレベーターボタン
山上館フロアマップ

1つ目のルート。
フロントから奥に進むと売店や食事処(居酒屋)が並ぶ通路があります。
大洞窟風呂「忘帰洞」とコインランドリーへの通路との交差点先にあるトンネルの向こうが山上館に上がるエレベーターホールです。
エレベーターに乗ればひとっ飛びで32階です。

スペースウォーカー入口
スペースウォーカー

こちらは、もう1つのルート「スペースウォーカー」。
地上30階以上まで上りますが、ワクワクしながら壁面に設けられた窓の外の景色を眺めつつ上って行けるので、それほど苦にはなりません。
また、疲れたならば、ところどころに設けられた踊り場に配置されたソファで休んでも良いでしょう。

山上館フロント

32階には、山上館のフロントがあります。
山上館の宿泊者以外の人が迷い込まない様に設けられた関所の様なものでしょうか。
このホテルの各大浴場には、客室備え付けのタオルを持参して使用済みタオル入れに置いてくることになるのですが、山上館宿泊者は追加のタオルなどをこちらでいただくことができます。
また、足の不自由な方向けに折り畳み式の車いすも用意されていました。

館内案内図
温泉巡り記念スタンプ

1階のフロントで配布された館内案内図です。
裏面は、館内温泉巡りの記念スタンプ用のシートになっています。
宿泊者が3ヶ所以上巡ると記念品がもらえるそうです。

客室

客室
ベッド

今回利用させていただいたのは和洋室。ベッドルームと和室の続き間で、それぞれ12畳ほどの広さがあります。定員は5名です。

とにかく窓の外の眺めがすばらしいです。
視界には青く輝く熊野灘、その先に太平洋が広がっています。これは期待以上でした。

客室からの眺め
備え付けの水
お茶菓子

室内には、ペットボトルの水が備えられています。
和室のテーブルには、鮪せんべいとゴーフル風のお茶菓子。画像に1種類ずつしかないのは、私が食べちゃったからです。

浴衣と丹前
湯かご

山上館利用者の浴衣と丹前。
本館利用者と柄や色合いが異なります。
湯かごは、館内の温泉めぐりをするのに便利です。

浴室
シャワーブース
浴室のアメニティ

室内には、通常の浴室とは別にシャワールームも付いています。
定員の5人で泊まるときくらいしか、両方一度に使うシーンが思いつきませんが・・。
備え付けのシャンプー、コンディショナー、ボディソープは、花王の業務用ブランド品。

洗面台
洗面台のアメニティ
歯ブラシなど

洗面台は、流しが2つ並んだタイプ。
ドライヤーは壁掛けスタイル。
アメニティは、洗顔フォーム、クレンジング、化粧水、乳液、スキンローション、ヘアトニックです。
こちらも花王の業務用ブランドですね。
歯ブラシ、ヘアブラシ、コットン、綿棒もあります。

大浴場

遙峰の湯

画像は、山上館33階にある大浴場「遙峰の湯」の入口です。
こちらは、山上館の宿泊者以外は利用できないように、専用カードキーで入場が制限されています(格子扉右手のセンサーに専用カードキーをかざすとロックが解除される仕組みです)。
男湯と女湯は、この入口の内部で分かれています。

内部の撮影が禁止されていることから、温泉成分分析表の画像は無いのですが、主要な部分をメモしておきました。
今回、この宿の代名詞ともいえる大洞窟風呂「忘帰洞」と山上館の「遙峰の湯」で入浴したのですが、この2つの温泉成分は同じでした。

<温泉成分:分析表の日付は平成27年6月16日>

  • 泉温: 51.5度
  • pH値: 7.3
  • 泉質: 含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉(低張性中性高温泉)
  • 陽イオン、陰イオン: 下表の通り(主要成分のみ)
  • メタけい酸: 39.8mg/kg
  • メタほう酸: 5.8mg/kg
  • 成分総計: 5.671g/kg
陽イオン 含有量(mg/kg)陰イオン含有量(mg/kg)
ナトリウムイオン1585.0塩化物イオン3113.0
カリウムイオン35.8チオ硫酸イオン28.0
マグネシウムイオン87.2硫酸イオン300.7
カルシウムイオン416.0炭酸水素イオン39.6

「遙峰の湯」の男湯の洗い場は8つ。
浴槽は2つあり、入り口側からそれぞれ7人、12人が余裕をもって浸かれそうな人数。
なお、窓は西向きなので、見えるのは勝浦の港方面です(朝風呂に入っても太陽は見えません)。

この宿のアイコンともいえる「忘帰洞」。
午前と午後で、男湯と女湯が入れ替わります。
入浴したのは16:00頃だったので、この時間帯の男湯は狭い方でしたが、それでもその巨大さが分かる洞窟風呂。
洗い場は、20人程度が利用可能。
浴槽は4つあり、海沿いから12人、15人、 20人、 7人程度がそれぞれ余裕をもって浸かれる広さ。
豪快に打ち寄せる波の音が響き渡っています。
こんな凄いものを開発した時代のパワーとノスタルジー、日帰り温泉客も入り混じったスーパー銭湯の様なカオスという特殊な雰囲気が感じられる場所でした。

レストラン

レストラン

レストランは、33階にあります。
夕食は画像左手の「宴会場 梅」で、大宴会場と思われる広い畳敷きの部屋にパーティションで仕切られたテーブルと椅子が設置されていました。
朝食は画像右手の「レストラン グリーンヒル」です。

休憩スペース

休憩スペース

山上館のフロントと同じ32階にある休憩スペース。
複数のソファやマッサージチェアが設置されており、飲み物の自動販売機もあります。
「遙峰の湯」とは異なるフロアにありますが、窓は熊野灘に面しているため、宿泊する部屋が勝浦港側の方にとっては、異なる景色が楽しめる場所になります。

土産物売り場など

土産物売り場

土産物売り場は本館1階のフロント傍にあります。
「山上館」には無いため、ご注意ください。

また、本館内にはエントランスを入ってすぐにコンビニの「ローソン」。「忘帰洞」に繋がる通路近くに食事処(居酒屋)が2軒あります。

その他のサービス

色浴衣
本館宿泊の子供用浴衣
アメニティバー

本館フロント傍にある色浴衣、子供用浴衣、アメニティバー。
色浴衣は有料です。
また、この子供用浴衣は本館宿泊者用。
アメニティバーには、ヒゲソリ、ヘアブラシ、シャワーキャップがありますが、こちらも本館宿泊者用ですかね。

食事

夕食

夕食メニュー
先付
吸い物
お造り
焼き物
すき焼き
天ぷら
ご飯
デザート

今回のプランの夕食です。
手は込んでいませんが素材がすばらしく、量は小食の私たちには少し多いくらいでした。

朝食

ビュッフェ1
ビュッフェ2
ビュッフェ3

朝食はハーフバイキング。
パン類は豊富な種類が楽しめました。

ビュッフェ4
ビュッフェ5

オムレツは、目の前で調理されたものをいただけます。
もちろん、ふわふわです。

朝食1
朝食2
朝食3

タカの目チェック(女性目線で気づいたこと)

私の奥さん「タカ子」さんの女性目線によるコメントコーナーです。

客室

今回宿泊したのは34階の和洋室。
この客室から眺める景色は圧巻で、水平線が丸く、どこまでも青い。
畳の香りのする和室と、ベッドがある洋室。
枕が2つとも私には高めだったため、肩の辺りにバスタオルを敷き調整しました。

ちなみに、山上館専用フロントにはバスタオルとフェイスタオルが十分に用意されており、何枚でも貰えるので湯めぐりをする前に貰っておいても良いでしょう。
部屋に備え付けの浴衣は、各サイズ2枚ずつ置いてあり、夕飯後の食事の臭いが付いた浴衣で寝ることにならずに済みました。

温泉

山上館から本館の「忘帰洞」までは距離がありますが、各施設の案内板も分かりやすく表示されており、方向音痴の私でも迷う事がありませんでした。
「忘帰洞」は硫黄の香りのする白濁湯の類を見ない大洞窟風呂で、一見の価値があります。
宿泊した日は休日ということもあり、入浴した17時頃の脱衣所は激混みでしたが、広い洗い場は空きも結構ありました。いくつかある浴槽の中で、波打ち際のものが1番人気で芋洗い状態でしたが、その他の浴槽は広々と入れました。
湯温は丁度良く、暮れていく空をのんびり眺めながら、波の音をBGMに、疲れた心と体をほぐすことができました。

食事

夕食の会席料理プランは、会場が混み合う事も無く静かで、高級食材が美味しくないはずも無く大満足です。
朝食はハーフバイキングで、シェフによる焼き立てオムレツや、サラダのトッピングにボイルした海老や帆立が有るなどかなり豪華。
パンも多種あり、ワッフルやピザが美味しかったです。

総評

部屋からの夜景

部屋良し、温泉良し、食事良し。
特に眺望は抜群で、この高さから見る昼間の青い海や、夜の群青色の空を明るく照らす月と満天の星空。揺れる水面に映る輝くムーンロードは感動もの!
フリードリンクやフリーフードなどのサービスはありませんが、それらが無くとも十分勝負出来る強みがここにはあり、一泊では味わい尽くす事が出来ない程、魅力が詰まった素晴らしい宿でした。

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最後に

現代では希少な部類の大規模宿泊施設「ホテル浦島」。
昭和時代を彷彿とさせるノスタルジックな宿でした。
昭和の団体旅行全盛期や、少し前のインバウンド景気では、さぞ賑わっていたのだろうと想像します。

個人的には、成分が豊富で、かすかな硫黄臭がありながらも肌にきつくない温泉がとても気に入りました。
特に洞窟風呂の「忘帰洞」は、ここにしかないユニークな存在。
南紀勝浦温泉といわず、この地域を代表する温泉の1つといっても過言ではないでしょう。

ただ、少し気になったことが1点ありました。
それは、19:00まで日帰り温泉に対応しているということで、宿泊客と日帰り客が重複する時間帯はカオス状態になってしまっているところ。
ゆっくり温泉に浸かりたくて泊まりで来ている身としては、非常に残念に思えました。

また、今回の旅行後間もなく、ビックリするニュースを目にしました。
このホテルグループの経営母体が東京の投資会社と株式譲渡契約を締結し、全株式を売却、そちらに事業承継されるとのこと。
滞在中に、ところどころ建物や設備の老朽化が感じられるところがあり少し気になっていたのと、関東に近い温泉地でも、比較的規模の大きい宿泊施設で同様な動きが見られていたので、こちらも色々厳しかったのだろうなと想像します。
それでも、このホテルには既にユニークな強みがありますので、新しい空気を取り入れながら、これからも私たちに憩いの場を提供し続けていただけることを祈念しつつ、締めくくりとしたいと思います。

<関連情報>
「ホテル浦島」公式サイト

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