文字通り、お肌への効能が良い温泉として謳われる「日本三大美肌の湯」。
その謂れについては諸説ある様ですが、喜連川温泉(栃木県さくら市)、斐乃上温泉(島根県仁多郡奥出雲町)、嬉野温泉(佐賀県嬉野市)の3湯がこれに当たります。
地理的には、関東、中国(山陰)、九州と、それぞれ散らばって存在していることから、全てを体験するというのはなかなか難易度が高いですよね。
そんな「日本三大美肌の湯」ですが、あまり意図せずにこのうちの2湯を体験することができたので、勢いで最後の1湯も浸かりに行ってしまいました。
感覚が鋭いとはとても言えないおじさんの感想ですが、興味のある方にとっては多少なりとも参考にしていただけるんじゃないかと思ったので、情報を共有させていただきます。
嬉野温泉(佐賀県嬉野市)
関東地方の外に出て住んだことの無い私でも、一度は耳にしたことがある「嬉野温泉」。
神功皇后(在位は西暦200年頃とされる)が征西の帰途に立ち寄って、戦いで疲弊した兵士の傷を癒したという謂れが有るほど歴史がある温泉です。
初めて訪れたのは、2022年春の夫婦での九州旅行でした。
この時は、嬉野温泉街から少し離れた「椎葉山荘」に1泊したのですが、そこのお湯は源泉が異なる様で、日本三大美肌の湯といわれるものとイメージが合わず、奥さんも私も釈然としないまま帰路に着くことになってしまいました。
幸いにも、2022年秋にオートバイのツーリングで九州を訪れる機会ができ、これを利用しない手は無いだろうということで、泉質が気になっていた「嬉野温泉」に改めて立ち寄りました。
当初、「大正屋」の日帰り温泉に入浴するつもりだったのですが、入浴可能時間になる前にそこを発たねばならないというスケジュール上の理由から、「嬉野温泉」を体験する場所は公衆浴場「シーボルトの湯」となりました。
「シーボルトの湯」の外観は、とんがり帽子とレンガ色の屋根が特徴的で、昔の病院にありそうな面持ち。
入口を入った先にあるロビーも外観そのままに、長椅子が並んでいれば昔の病院の待合室の様です。
利用料金は、大人420円(70歳以上320円、こども210円)で、券売機でチケットを購入します。
あと、手ぶらで寄ったためにタオルが無かったので、名入れタオルも220円で買いました(厚みが有ってしっかりしたものでした)。
そして、大浴場にて「嬉野温泉」のお湯を体験!
源泉の温度が85℃と高いことから、適温にするために加水しているのですが、それでもとろみが有ってまろやかさを感じられる、無色透明な弱アルカリ性(pH 7.72)のお湯でした。
実際、お風呂上りには、50代後半のおじさんの肌さえもスベスベになっていましたので、「美肌の湯」と謳われるだけのことはあると納得(偉そうで済みません)。
これでやっと、春から半年間モヤモヤしていたものを払拭することができました。
なお、衛生管理の都合上、循環ろ過されており、塩素系消毒剤が使用されていることから臭いがあるのはやむを得ないところですが、源泉かけ流しのお風呂が有る宿もありますので、気になる方はそちらを利用することをお勧めします。
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2階には休憩室があり、ゆるキャラ「ゆっつらくん」の皮がお出迎え。
1階の券売機で、周辺の飲食店の出前が注文できる様なので、こちらで食べるのでしょう。
休憩室横のドアからは、ルーフバルコニーに出られます。
建物の横を流れるのは塩田川(別名、嬉野川)。
天気のお陰もあり、山あいの静かな温泉地という雰囲気で、とてもゆっくりとした時間が流れていました。
2022年の西九州新幹線の開業により、嬉野温泉駅を利用することでアクセスも良くなっていますので、より賑わうことが予想されます。
<「シーボルトの湯」基本情報>
所在地 佐賀県嬉野市嬉野町大字下宿乙818-2
営業時間 6:00~22:00
休館日 毎月第3水曜日
利用料 大人 420円
こども 210円
駐車所 あり(利用者は90分無料)
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喜連川温泉(栃木県さくら市)
1981年に、当時の喜連川町の町おこしとして開発されたという「喜連川温泉」。
ここは、周辺にいくつかの温泉宿はあるものの観光地化されていないため、私も関東出身にもかかわらず、その名称に全く馴染みがありませんでした。
そういえば、以前喜連川で温泉付き宅地が分譲されているという電車の中づり広告を見た記憶が有ったので、調べてみたらこの分譲地は1990年代に開発されたものだった様です。
そんな喜連川温泉が「日本三大美肌の湯」と謳われている温泉の一つであることを知ったのはごく最近で、「それならば」と2022年秋の奥日光旅行にかこつけて立ち寄りました。
訪れたのは、「さくら市営もとゆ温泉(第1温泉浴場)」。
この日は、レンタカーを借りて向かいました。
駐車場は、砂利敷きですが、収容台数は100台程ある模様です。
施設は、主に地元の方向けの様だったので、交通手段はクルマのみかと思いきや、ここと「市営露天風呂(第2温泉浴場)」や「道の駅きつれがわ」等の市営温泉施設とJR氏家駅とを結ぶ「観光温泉バス」が運行されています(時刻表はこちら)。
近隣観光施設としては、道を挟んで反対側にそびえる丘の上にある「お丸山公園」。
旧大蔵ヶ崎城の跡地に整備された公園です。
西側からクルマで登れる道がありますが、ここからだと歩いて登ることになります。
「市営もとゆ温泉」に到着したのは13:00過ぎだったのですが、見ていると、地元の方と思しきおじいちゃん、おばあちゃんがどんどんクルマで乗りつけます(ごく偶に私たちの様な地域外からの訪問者も・・)。
混雑してゆったり入れなくなるのも嫌なので、写真撮影はそこそこにして入館します。
料金は、入浴だけの場合は大人300円、休憩所も併せて利用する場合は600円です。
いつものことですが、奥さんとはお湯に浸かっていられる時間の長さが違うので、上がった後の待ち合わせのために休憩所も利用することにしました。
この「市営もとゆ温泉」ですが、熱めと温めの2つの内湯と1つの露天風呂があります(奥さんによると女湯も同じだったそうです)。
内も外も、地元のお年寄りの皆さんで賑わっており、コミュニケーションの場になっていました。
さて、体を洗い終えたので、お湯に浸かろうと浴槽に張られているお湯を見てびっくり!
なんとも珍しい黄色で透明のお湯で、少し石油系の臭いもしました(さすがにスマホを持ち込む訳にいかなかったので、写真を撮ってお見せできないのが残念です)。
源泉の温度は45℃ということで、加温がされているそうですが加水はありません。
衛生管理上、循環ろ過されており、塩素系消毒剤も使用されている模様ですが、そちらの臭いよりは石油系の臭いの方が強く感じました(なお、「市営露天風呂(第2温泉浴場)」は、源泉かけ流しだそうですよ)。
見た目はとろみが有り、肌触りもヌルヌルとした特徴が有る弱アルカリ性(pH 8.1)のお湯。
入浴前に体を洗ったときのボディソープはちゃんと落としたよな・・と心配になる程でした。
湯上りは、このお湯から想像した通り、肌はスベスベかつしっとりした感じになりました。
風呂から上がって、2階の休憩所へ(1階にも少し小さめの部屋があります)。
2階の休憩所は、部屋がおもての道路側と川側に分かれていて、どちらも和室。
それぞれ寝転がって休憩している(・・というより熟睡している)人たちが居ました。
私は、給茶機でお茶をもらってから、大きな音を立てない様に、少し狭い川側の部屋で外の景色を眺めたりしながら奥さんを待ちます。
10分程待っていると、奥さんも驚いた様子で目を見開いてやって来ました。
曰く、「美容液の様なお湯で、化粧水無しでクリームが塗れる!」とのこと。
本人の中では、以前泊まった熊本県の南阿蘇温泉郷の宿のお湯と双璧を成すものだった様です。
正直言って、私もこんな温泉が、それも関東に有るなんて驚きでした。
住んでいる場所から考えると、温泉地としては箱根や熱海の方が近いくらいですが、気合いを入れないと到達できない距離という訳でも無いので、今度は源泉かけ流しのお湯を体験しに行ってみたいと思います。
<「市営もとゆ温泉」基本情報>
所在地 栃木県さくら市喜連川6620-1
営業時間 7:00~21:00
休館日 第1月曜日
利用料 大人 300円
こども 150円
(休憩所利用の場合は、600円と300円)
駐車所 あり(無料)
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斐乃上温泉(島根県仁多郡奥出雲町)
「日本三大美肌の湯」の中で、訪れるには一番難易度が高いと感じていたのが「斐乃上温泉」です。
難易度が高いというのは、関東在住の身からすると片道800kmはかなりの距離で、ちょっと行ってくるという範囲ではないということと、そのためだけに時間とお金を掛けて行くというところに心理的なハードルがあったためです。
私は、これまでの人生で島根県に一度も足を踏み入れたことがありませんが、考えてみたら一度訪れてみたいと思っていた出雲大社がありました。
・・・ということで、「出雲大社に参拝する」という心理的ハードルを乗り越える理由ができたので、2023年のゴールデンウイークにオートバイでツーリングに行くことにしました(というか、お許しをいただきました)。
今回向かった斐乃上温泉の入浴施設は、「斐乃上荘」。
元々、宿泊施設ですが、2022年1月以降は宿泊者を受け入れておらず、日帰り温泉の営業のみです(2023年5月現在)。
斐乃上温泉としては、ここから少し上流に民宿が1軒あるようです(「斐乃上荘」と同様に日帰り温泉も営業)。
「斐乃上荘」は、日本神話で天照大神(アマテラスオオミカミ)の弟神である素戔嗚尊(スサノオノミコト)が天から降り立ったとされる船通山への登山道入口から2㎞強下ったところにあります。
この日、午前中にお参りした出雲大社からは約70km、途中で雨粒が落ちてきたエリアがあり、レインウェアを着るために手間取っていた時間も有るため、1時間45分程かかりました。
敷地内の駐車場(無料)の収容台数は50台程。
クルマでやってくる人たちの様子を見ていたところ、この日の来客者は、地元と思しき方が半数、旅行者・登山帰りと思しき方が半数という印象でした。
料金は、大人500円、小人250円です。エントランスに設置されている券売機で購入します。
休憩スペースは、建物の駐車場に面した場所にあります。
それ以外に、1階と2階に有料の個室を借りることができます。
そうそう、浴用のタオルは200円で購入しました(温泉名等の入ったものはありませんでした)。
シューズボックスは、蓋つきと蓋なしの棚があります。
今回、踝を覆うサイズのライディングブーツだったので、高さ的に両足を揃えてボックスに納めることができず、片足ずつ蓋つきの方に入れさせてもらいきました。
登山者のトレッキングブーツなども、高さがあると思いますが、皆さんどうしているんでしょうか。
ロビーの様子です。
玄関先に、所狭しとお土産物が並べられています。
私は、奥さんへのお土産として入浴剤を購入しました。
そして、何かの気配を感じて振り返ると、天井から「おろち」に見下ろされていました。
スサノオノミコトがヤマタノオロチを退治した神話の舞台となる地ですからね。
さて、お風呂です。
脱衣所にはロッカーがあるので、こちらに貴重品を預けます。利用には100円が必要ですが、開錠すると戻ってきました。
浴室は内湯のみで、湯船はあまり広くはないので、4人入ったら心理的に窮屈かも。洗い場は6ヶ所ありました。
温泉は、源泉の温度が26℃ということで、加温されています(加水はありません)。
また、衛生管理上、循環ろ過されており、塩素系消毒剤も使用されている模様ですが、臭いはあまり気になりません。
泉質は、アルカリ性単純温泉。
成分表からも、目立った成分は含まれていない様です。
しかし、やはりお湯はとろみがありヌメりが凄いです。
成分表には、pH値の記載がありませんが、泉質がアルカリ性単純温泉ということは、pHは8.5以上あることになります。
湯上りの肌は、皮脂の汚れや油分が取り除かれてスベスベでした。
ただ、肌が弱めなくせに保湿ケアなどに無関心な私は、風呂から上がってしばらくしたらカサカサになってしまったので、私と同じようなタイプの方はしっかり保湿することをお勧めします(もしかしたら、施設内に用意されていたボディソープが、私に合わなかったのかもしれません)。
お風呂から上がったのは13:00を回っていたので、お腹も減っていました。
入場の受付をしたカウンターでおすすめの割子蕎麦定食を注文し、休憩スペースに移動します。
休憩スペースには給茶機があったので、お茶を飲みながら出来上がりを待ちます。
そして運ばれてきたのは、三段重ねの割子に入った手打ちそば、サクサクの山菜の天ぷら、ご飯です。自分的には量が多めですが、残さず美味しくいただきました。
食後は、少し休憩してから出発しました。
「斐乃上荘」の周囲は、道路に沿って斐伊川が流れ、300m程上流に行くと斐乃上温泉の温泉水が流れ込む水遊び場(「わくわくプール」というらしい)がある様です。こちらに来て、時間があるようでしたら、そこまで散歩してみても良いかもしれませんね。
<「斐乃上荘」基本情報>
所在地 島根県仁多郡奥出雲町竹崎488-1
営業時間 10:00~19:00 ※変更になることもあるようです
休館日 毎週火曜日 ※2023年4月以降(時期によって営業していることもあり)
利用料 大人 500円
こども 250円
(個室休憩所利用の場合は、部屋により1,100円~1,800円)
駐車所 あり(無料)
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おまけ<日本三大美人の湯>湯の川温泉(島根県出雲市斐川町)
せっかく関東から島根県まで行くのに、浸かる温泉が「斐乃上温泉」だけだともったいない気がして、調べたら「日本三大美人の湯」の一つに数えられる「湯の川温泉」もあるじゃないか!・・・ということで、こちらの日帰り温泉施設「ひかわ美人の湯」にも立ち寄らせていただきました。
湯の川温泉は、宍道湖の南西側に位置し、JR山陰本線の荘原駅から徒歩で1.5㎞程の距離に数件の温泉宿が集まっています。「ひかわ美人の湯」は、温泉宿が集まるエリアの先の丘の上にあります。
駐車場は、アスファルト舗装されており、大型バスを含めて100台は停められそうです。
訪れた日はゴールデンウィーク中の平日で、到着したのは昼頃でしたが、地元と思しき方がどんどんクルマでやって来ていました。
建物に入ると、土産物などが陳列されたショップエリアがあり、そちらに設置された券売機にて入浴料金を支払います。
料金は、高校生以上が600円、65歳以上になると400円です。
タオルも210円で購入できました。
入浴施設の入り口をくぐり、その先で履物を脱ぎます。
脱衣所です。
ロッカーの年季の入り具合が良い味出しています。
ロッカーは無料です。
温泉は、源泉の温度が50.5℃ですが、使用場所まで来る間に下がるため加温されています
泉質は、弱アルカリ性のナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉。
溶存成分は総計で1,000mg/kgを超え、メタホウ酸は7.9㎎、メタケイ酸も39.5㎎あります。
ぽかぽか温まり、外傷などの回復を促し、肌をきれいにしてくれる・・といった効果が期待できそうです。
浴室は、内湯と露天風呂で、露天には打たせ湯があります。
洗い場は、8人分くらいでしょうか。
内湯の広さは7、8人分程度で、露天風呂の方が広いですね。
露天風呂は源泉掛け流しですが、内湯は消毒剤の匂いが強い気がしました。
湯上りは、ぽかぽかになりましたが、肌への大きな影響は感じませんでした。
やはり、継続して入浴するのが良いのでしょう。
2階には、座敷の休憩室があります。
飲み物の自動販売機も備えられています。
本来は食事も可能ですが、この日は臨時休業とのことでした。
<「ひかわ美人の湯」基本情報>
所在地 島根県出雲市斐川町学頭3646-1
営業時間 10:00~21:30
休館日 定休はなし(メンテナンスによる休日あり)
利用料 大人 600円(65歳以上 400円)
小中学生 400円
3歳以上 200円
駐車所 あり(無料)
まとめ
幸運に恵まれたお陰で、1年間という意外にも早い段階で「日本三大美肌の湯」の3湯全てを巡り切ることができました。
一口に美肌の湯といっても、色々な違いがあることが分かって面白かったです。
私は、普段からお肌の状態に気を配ることはありませんが、この湯めぐりをすることをきっかけとして、入浴前後の様子を見るために普段の肌の状態を観察したり、そもそもの温泉の泉質等の分類や効能などを調べたりして、温泉に関する勉強も少しできたので、ぼんやり霞が掛かりかけていた脳にも良い刺激になりました。
さて、その上で、3湯中で個人的なベストはどこかというと、スベスベとしっとり感が強く感じられた「喜連川温泉」です。単純に、お湯から上がった後の感覚を頼りに決めた個人的感想ですが・・。
ただ、厳密に考えると、お湯に浸かる前に体を洗うボディソープの種類はバラバラですし、訪れた季節も同じではないため、自分的に納得できる答えという訳でもないんですけどね。
とりあえず、3湯全てを体感した区切りとしての感想とお考え下さい。
でも、まだ入ったことの無い温泉が全国にたくさんありますし、それぞれの人によって肌質や好みで合う合わないがあって、「日本三大美肌の湯」の3湯以外でも「自分にとってはこれが最高!」というものが有るんだろうと思います。
残りの人生でどこまでできるか分かりませんが、これからも旅行には行きたいですし、まだ浸かったことの無い温泉がたくさんあるので、それも一つの楽しみに色々計画したいと思います。
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