SHADのトップケースSH48とサイドケースSH23でフルパニア化して約2年半。
使用した距離としては15,000kmにも満たないのですが、自分の使い方と現状の収納力のギャップが見えてきて、出来ることなら改善したいと思い始めていました。
これは何かの力が働いたのでしょうか。
半年前から計画していた夏の北海道ツーリングが、とある事情で流れてしまいました。
目的を見失ない漫然と過ごしていたある日、PCの画面を通して通販サイトを眺めていた私の指は、「今すぐ買う」のボタンへと導かれたのでした。
SHAD SH36の概要とSH23との比較
SH36について
SH36のサイズは、H380mm×W490mm×D330mmで、容量は36リットル。
耐荷重量は片側10kgです。
ゴロンとした形は私好みで、何かのデザイン賞を取ったこともある様です。
画像は、届いた箱の外観と開梱したところです。
同梱品は、キー2本と予備のシリンダー。
それとシリンダー取り付け用のネジ。
環境への配慮ということなのでしょうか、取扱説明書類は同梱されていませんでした。
SHADのホームページを見ても詳細が分かり難いため、購入に気になっていたのことの一つがケース内の構造。
蓋が上に開くSH23と異なり、車体の外側に向かって蓋が上から開くため、開けたときに中の荷物が崩れ出ないのかということです。
また、インナートレイが付いているということでしたが、それもどのくらいの奥行があるのか・・。
インナートレイの形は画像の通りで、ボックスタイプではなく本当にトレイです(逆にボックスタイプにしてしまうとヘルメットの収納は難しくなりそうですが・・)。
測ってみたところ、奥行は230mmでした。
荷崩れ防止用のゴムバンドも付いています。
ヘルメットの収納はどうでしょうか?
私が使用しているのは、SHOEI製GT-AirのLサイズ。
左頬のあたりに中華製のインカムが取り付けてあり、ヘルメット全幅に対して15㎜ほど出っ張ってます。
しっかりと蓋を閉めることができました。
ただ、インカムを取り付けてあるヘルメット左側をケースの内側(車体側)にして収める必要があります。
これとは逆に、ケース外側にして収めると蓋が閉まりませんでした(ケースの左右とも同様です)。
SH23との比較
次に、SH23との比較です。
SH23のサイズは、H345mm×W492mm×D265mmで、容量23リットル。
耐荷重量は片側5kgです。
画像は、SH36とSH23を並べ、上からとリア側から撮影したもの。
仕様上、SH23の方が横幅は2mm大きいですが、見た目は数字以上に幅があるようにも見えます。
その他、高さで35㎜、奥行で65㎜、それぞれSH36の方が大きいです。
実際に車体に装着してみないと分かりませんが、数字上は全幅が130㎜増となる模様。
[広告]
Vストローム650XTにSH36を装着
エンドキャップ交換とサイドケースの装着
まずは、フィッティングキットのエンドキャップをSH23用のものから、購入時に付属していたSH36用のものに戻します(捨てずに保管していて良かった!)。
左右とも、ビス1本で固定されているだけなので、特にフィッティングキットを車体から取り外す必要も無く、そのままの状態で交換できます(ドライバーは短いものが必要です)。
続いて、サイドケースSH36を装着します。
サイドケースのフック3ヶ所をフィッティングキットのパイプに引っ掛け、固定するために上部のハンドルを押し下げて格納状態にします。
・・・ところが、何かが邪魔をしている様で、ハンドルを完全に押し下げることができません。
下から覗いてみます。
ハンドルを押し下げることでフィッティングキットのパイプを下側から挟み込むように出てくるツメが、パイプに溶接されているプレートと干渉している模様です。その場でツメのクッションラバーを少し削り取り、干渉を減らせないか試してみましたが、その程度で済む問題ではなさそうでした。
対策
まず、誤解の無いようにお伝えしなければならないことは、私が使用しているフィッティングキットは、SH23の取り付け用として購入したもので、画像の説明書に表示されている通り既に販売していない型番(S0VS68IF)になりますので、これにSH36が取り付けられないからといって文句を言える立場ではありません(2023年9月現在販売中のフィッティングキットは、SH36、SH23どちらにも対応した型番S0VS61IFです)。
また、事前に装着できかどうかをどこかに確認した訳でもなく、ただ、SHAD本国の公式ホームページに掲載されているS0VS61IFの取扱説明書を確認し、現行品が私の使用しているものと部品番号が異なるものの形状は同じと推測した上で、SH36の購入に踏み切ったという経緯です。要するに、完全に自己責任の範囲でやっているということです。
[広告]
さて、室内に戻って子細に見てみます。
まず、プレートが干渉しない角度でパイプに取り付けてみて、ツメがどのくらい出ると固定されるのか、位置を確認します(フィッティングキットのエンドキャップは、邪魔になるので一時的に取り外しました)。
それから、サイドケースに対して加工する次の3つの調整方法を考えました。
- 横に走るパイプ上部に接する2ヶ所のフック内側のクッションラバーを削り、パイプがより深く食い込むようにして下部の空間を広げることで、プレートに接触せずにツメが出る範囲を増やす
- 前方の縦に走るパイプに接するフック内側のクッションラバーの車体側を削ることで、ケース下部を現状より外側に捻るように取り付け、プレートとツメのクリアランスを広げる
- ツメをプレートに接触しないで固定できるところまで削る
これらを検討した結果、最初の2点は、クッションラバーを取り付けたまま加工することが難しいこと、ラバーを全て取り去っても期待する効果が出ない可能性があること、また、仮にツメが固定できるようになったとしても、クッション性が損なわれることで走行時の振動によりケース本体や収納品に影響が出る恐れがあるということで候補から外し、3点目を採用することとしました。
さて、ツメを削るに当たり、どの程度まで行う必要があるのか、目測でプレートと干渉する範囲を推測します。
どうやら、黄色の三角形がその範囲となりそうでした。
ツメがパイプに接する側の一辺は、3~4mmくらいでしょうか。
そこそこの量を削る必要がありそうです。
とは言っても、その手前で済む可能性もあることから、慎重に作業を進めることにします。
まずは、道具が何も無いので、プラスチック対応のやすりを購入(こういう時に電動工具が有ったらなと思うのですが、難しいことはプロにお任せする方針なので、持っていてもあまり使う機会が無いんですよね)。
[広告]
やすりがけ
まずは、ラバーが出っ張っている部分をカッターナイフでカットしておきます。
新品のケースに傷をつけるのはもったいないのですが、心を鬼にして削ります。
ここからは、ただひたすら削ります。
10分程度削っては、フィッティングキットに取り付けてみて、様子を見ながら進めます。
削り面を均一に、同じ角度になるように加工しなければならないので、結構気を使います。
削り始めて6~7時間程経過した頃(当然1日では終わらないので数日かけて)、取り付けた際にカチッと音がして漸くハンドルを下まで押し込むことができました。
ツメの先端とプレートの面が、ピッタリ合うような形で加工することができています。
結局、削り量は最初に見積もった程度まで行ってしまいました。
しかし、素人仕事の割には、ツメがパイプを下側からうまく挟めているし、削る範囲も必要最低限で済ますことが出来たので、上出来でしょう(作業中に手が滑って、ケース裏側に付いてしまった傷が痛々しいですが)。
でも、まだ片側が終わっただけなんですよね・・・。
さらにその一週間後、もう片方のやすり掛けも終わりました。
出来栄えもまあまあです。
ただ、なぜかこちらは8時間近く掛かってしまいました。
もう指が痛いです・・。
サイドケースの装着(再び)
外していたフィッティングキットを車体に装着し直し、今度こそフルパニア増量版の完成です。
比較のために、SH23を取り付けている時の画像を載せておきます。
トップケースSH48の大きさを考えると、サイドケースはSH36を付けている時の方が見た目のバランスが良さそうですかね。
リアからの見た目。
こちらも、比較用に2つの画像を載せておきます。
SH23を付けている方はトップケースが強調されて重心が高くなってしまっているので、微妙な画になっていますが、形状的に下に向かって細くなっているSH23の方が、腰高に見えるのは間違いないです。
SH36を装着した際の横幅を計測してみます。
片側550mm、全幅1100㎜となりました。
SH23を付けていた時は、全幅900mmだったので200㎜も増えました(測り間違えていたのかな?)。
想定していたより幅が増えてしまいましたが、それによって支障が出るような走り方はしないので問題はありません。
以下は、フィッティングキットの取り付けを自分で行ってみたときの作業記録です。
良かったらご覧になってください。
まとめ
購入前は、フィッティングキットのエンドキャップの交換程度で装着できると見込んでいたSH36ですが、思いのほか大工事になってしまいました。
とりあえず使える状態にはなったものの、頭の片隅にはSH36に対応するフィッティングキット(型番S0VS61IF)であれば問題なかったのかもしれないという思いもあり、気になるのも確かなので、もしそちらを使用している方がいらっしゃったら、特に加工などは必要なかったか等の情報を提供していただけましたら有難いです。
なお、サイドケースの使用方法としては、従来から車体右側のケースにレインウェア、ブーツカバー、ツーリングネットなど出番が頻繁にある訳ではないものを入れて、出し入れの機会が多いものを左側のケースに入れるようにしていますが、SH23と違って上蓋を開ける形ではないため、ケース内の荷崩れ防止のために一旦マチが200㎜程度の布製のトートバッグに詰めてからケースに収納するようにしています。
使っていて気になったのは、蓋を開ける際にボタンを押すと最初にハンドルが持ち上がるのですが、このハンドルを元に戻して収納するときに抵抗が大きいことです。ハンドルを戻す際は、ボタンを押しつつハンドルを押し込むという手間をかけた方がハンドルを戻しやすく、破損する心配がありません。これは、使い込んでいくうちに馴染んでくることなのかもしれないので、しばらく様子を見ることにします。
おまけ(予備キーシリンダーのトップケースへの取り付け・・の途中まで)
SH36には予備のキーシリンダーが付属しています。
一つのキーで済ませられるようなった方が便利なので、トップケースSH48に取り付ける作業をしたのですが、結果としては取り付けられませんでした。
理由は、私が使用しているSH48のロックカバーが赤いキーの古いタイプであるため、シリンダーの大きさが異なっていたからです(古いタイプはキーの持ち手が横長楕円で、新しいタイプはキーの持ち手が六角形ぽいやつでプレミアムロックキーというらしいです)。
手探りしながら苦労してロックカバーをケース本体から取り外し、いざシリンダーを交換する段になって初めて気が付いたというオチなのですが、もし同じようなことを考えていらっしゃる方は、最初に手持ちのトップケースのキーとシリンダーを確認することをお勧めします。
なお、新しいシリンダーに対応した別売りのロックカバーを購入して古いタイプと交換すれば、取り付けが可能になるようです。
ちなみに、作業上の注意点は次の通りです。
- 開閉ボタンのキー位置をCLOSEポジションにして行うこと
- 全ての作業が完了するまで、試しにキーを回してみようなどとしないこと
- シリンダーに刻印されている番号が、自分から見て中心から左側に来るように装着すること、
それでは、中途半端な内容であることをご理解いただいた上で、ロックカバーを取り外すところまでをご紹介します。
SH48を正面から見たところ。
キーは古いタイプのものです。
キー位置はCLOSEポジションにして作業を始めます。
蓋を開けて、ロックカバーを本体に固定している4つのビスを外します。
本体とロックカバーの隙間に、マイナスドライバーを2本差し込みます。
次に、ドライバーをこじってロックカバーを外して行きます。
片側が外れたら反対側へ移ります。
両側が外れたら、ロックカバーが本体から引き抜けます。
ロックカバーを本体から引き抜き、古いシリンダーをロックカバーから外しました。
この後、引き抜いたシリンダーとSH36に付属していたシリンダーを比べて「大きさが違うじゃん!」となり、脱力した状態で画を巻き戻した訳ですが、次回ロックカバーを外すことになったらこれを見返して作業ができるので、まあ良しとしましょう。
こちらは、この作業を行うに当たって事前に見たSHADが公開している動画です。
参考になると思いますので貼っておきます。
コメント